御嶽山湯川地層剥ぎ取り標本・千葉県市原市チバニアン地層剥ぎ取り標本
この展示物は御嶽山の麓(木曽町三岳湯川)と千葉県市原市(柳川)でそれぞれ採取された地層の標本です。この2つの標本には、御嶽山の噴火活動がもたらしたつながりを見ることができます。それが2020年に認定された新たな地質年代「チバニアン」です。
46億年前に誕生した地球には、いくつもの時代があります。(例えば、恐竜がいたジュラ紀や白亜紀など)これらの分かれ目は生物の出現や絶滅など、地球規模の大きな変化が起きた時期です。近年では、地磁気(地球を取り巻く磁気の流れ)の変化を測定し、時代区分とすることもあります。
千葉県市原市田淵にある地層は、地球で一番新しい地磁気逆転の記録が残っています。それが世界で最も顕著であることから、茨城大学理学部岡田誠教授を中心としたプロジェクトチームによる調査・研究が行われました。その結果、チバニアン(千葉の時代)と命名され、GSSP(国際境界模式層断面とポイント)として国際地質科学連合に認められました。
千葉県市原市チバニアン地層剥ぎ取り標本は一見すると泥壁にも見えますが、一筋だけくっきりと白い線を見ることができます。これが御嶽山噴火により発生した火山灰が堆積したもの(白尾火山灰層)であり、チバニアン時代の始まるポイントでもあります。御嶽山湯川地層剥ぎ取り標本ではそれと同時期の火山灰を見ることができます。こちらの火山灰の堆積量は大きく、質量の大きな噴出物も含まれます。チバニアン研究において、御嶽山は大変重要で、噴火のタイミングが偶然にも地磁気逆転と重なり、年代測定の確かなマーカーとなったことから、GSSP認定に大きく貢献しました。
これらのつながりは、御嶽山が確かに火山であり、遠く千葉県市原市にまで影響を及ぼす火山活動をしていたことを示しています。
備考:地層採取地(御嶽山湯川地層 長野県木曽郡木曽町三岳湯川)
(千葉県市原市チバニアン地層 千葉県市原市柳川)※茨城大学理学部 寄贈
展示物製作者(木曽町、名古屋大学)
製作指導・協力:笠間 友博(神奈川県箱根町)
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